すると、
「あ、花がある。誰か来たの?」
コップにさしておいたアヤメを指差す。
「あ、あれか、えーと、その………」
思わず口ごもった。なぜ口ごもったのだろう。
(ど、どうしよう。素直に庭師でしゃべる本持っていて神様だっていう女の子からもらったって言うのか?)
いや不思議すぎんだろ!いろいろと!
「もしかして……女の子?」
じろりとつかさの眼つきが鋭くなる。
あー、もう何でつかさが怒るかなぁ。なんだか悪い事をしたようになっているし。
「も、もらったっていっても今日会ったばっかの女の子だよ!」
必死につかさの機嫌を取る。
「えーと、だから、一つだけ望みをきくから機嫌直して?」
結局、謝ってるし。
これでつかさの機嫌が直るかどうかは賭けでしかない。
しばし続いた無言の視線を、必死に受け止めるしかない樹。
と、
「本当に?」
「本当に!マジで!」
「じゃ、明日外にいこっ!」
「へ?」
つかさは言った。
「デートだよ。デート」